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大阪高等裁判所 昭和60年(行コ)44号 判決

神戸市東灘区深江本町三丁目五番六号

控訴人

磯邊信三

右訴訟代理人弁護士

森川憲二

兵庫県芦屋市公光町六番二号

被控訴人

芦屋税務署長

高谷清

右指定代理人

竹中邦夫

杉山幸雄

伊丹聖

大黒宏明

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一申立て

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が控訴人に対し昭和五六年七月一七日付けをもつてした昭和五五年分所得税の更正処分のうち課税分離長期譲渡所得金額につき四八七五万一〇〇〇円を超える部分及び重加算税の賦課決定処分(ただし、昭和五七年一〇月一四日付けで国税不服審判所長により一部取り消された後のもの(過少申告加算税額六八〇〇円を超える部分))を取り消す。

3  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

との判決を求める。

二  被控訴人

主文同旨の判決を求める。

第二主張及び証拠関係

次のように付加、訂正するほかは、原判決事実摘示のとおりであるからこれを引用する。

一  原判決三枚目裏四行目の「二七日」を「二一日」に改め、同六枚目裏一〇行目末尾の次に改行の上左のとおり加える。「 更に、昭和五〇年の住宅宅地審議会答申で最低居住水準の目標として設定された項目の中には、「満一八歳以上の者については個室を確保する」、「原則として、すべての世帯に専用の便所及び洗面所を確保する」との定めがある。しかるに、磯邊商店本店建物二階部分には成人している四男譲にとつて個室はなかつたのであるし、控訴人にとつて専用の便所及び洗面所すらなかったのであるから、右最低居住水準を満たしていない点において右二階部分は控訴人の生活の本拠としての実体を有していなかつたものといわねばならない。」

二  同九枚目裏六行目の「第三五号」を「第六五号」に改める。

三  証拠関係(当審分)

控訴人は甲第二八号証を提出し、被控訴人はその成立を認める旨述べた。

理由

一  当裁判所も、控訴人の本訴請求はこれを棄却すべきものと判断する。その理由は、次のように付加、訂正、削除するほかは、原判決理由説示のとおりであるからこれを引用する。

1  原判決二二枚目裏一一行目の「原告主張のころ」を「昭和二四年ころから同五六年一〇月ころまでの間」に、同二三枚目表一行目の「原告主張の」を「昭和五八年九月」に、同五行目の「原告主張のころ」を「昭和五三年五月ころから同年一〇月ころまでの間」に改める。

2  同二三枚目裏五行目の「本件家屋」の次に「で寝起きしそこ」を、同九行目の「借りて」の次に「居住していた」を加え、同二四枚目表二行目の「猶之介」を「猪之介」に、「和雄」を「和男」に改める。

3  同二四枚目表一行目の「備えられていた」を「備えるものになつていた」に、同一二行目の「同女」を「義姉」に改め、同二五枚目表一行目の「終え」の次に「同五三年一月にその明渡しを受け」を、同二行目冒頭に「亡くなつた妻の荷物等」を加え、同裏末行の「一九日」を「一五日」に改める。

4  同二六枚目表三行目の「四六年」の次に「ころ」を、同四行目の「二階は」の次に「従来」を加え、同六行目の「の洋間、」を「相当のタイニングキチン、玄関ホール、洗面所、便所、溶室の居住用部分と」に改め、同七行目の「、浴室」を削り、同七、八行目の「(二箇所)」を「の事業用部分」に改める。

5  同裏三行目の「からは、」の次に「前記居住用部分のほか四男の譲居住用として屋上にプレハブの簡易鍵物を設置し、」を、同四行目の「受けても、」の次に「前記一部の」を加え、同二七枚目表八行目末尾の次に左のとおり付加する。

「そのほか、原審証人石井次蔵の証言、原審における控訴人の供述中前記認定に反する部分は、前掲各証拠に照らして採用し難く、ほかに前記認定を左右するに足る証拠はない。」

6  同二八枚目表八行目末尾の次に改行の上左のとおり付加する。

「控訴人の主張する住宅宅地審議会答申は、成立に争いのない甲第二八号証によれば、住宅政策の理念から居住水準の将来にわたる目標を設定したものであると認められるから、個人の生活の本拠としての実体の存否を判断するための基準とはなりえないものである(しかも、磯邊商店本店建物二階部分には、控訴人の家族専用の洗面所、便所、浴室が存し、四男譲のためには簡易建物とはいえ屋上にプレハブの居室が設置されていたと認められることは前記のとおりである。)。」

7  同二八枚目裏三行目の「二七日」を「二九日」に改め、同二九枚目表九行目の「終え」の次に「その明渡しを受け」を、同一〇行目の「家財道具」の次に「の一部」を加え、同裏一二行目冒頭から同三〇枚目表六行目末尾までを削る。

8  同三一枚目裏五行目の「第三八年法律」を削り、同三三枚目表四行目の「おいて」の次に「本件土地上に」を加える。

二  よつて、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき行訴法七条、民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 石川恭 裁判官 堀口武彦 裁判官 安倍嘉人)

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